すべては『GANTZ』に繋がっていた
佐藤信介 映画監督

佐藤信介「すべては『GANTZ』に繋がっていた」

映画監督として活躍中の佐藤信介。
最新作の映画「GANTS」は、1月に日米同時公開された前編が好評を博し、1月29日(土)の公開から65日間で動員267万4000人・興行収入30億円を突破。
現在、後編「GANTS PERFECT ANSWER」が公開されている。
ムサビの映像学科第一期生であり、自由な気風のなか存分に映画の自主製作を楽しんだという。

Profile

佐藤信介(さとう・しんすけ)
武蔵野美術大学造形学部映像学科卒業。映画監督。在学中、『寮内厳粛』(りょうないげんしゅく)が、ぴあフィルムフェスティバル94(PFF94)でグランプリを受賞。映画『LOVE SONG』で監督メジャー・デビュー。主な監督作品に、『砂時計』『いぬのえいが』、脚本作品に、『県庁の星』『春の雪』などがある。現在、監督作品『GANTZ PERFECT ANSWER』が全国の東宝系で公開中。

困難が『GANTZ』という映画を形にした

本格的なSFアクション映画を東京で撮りたいと思っていた時に巡り合ったのが『GANTZ』。東京を舞台にしたアクション映画です。とはいえ、実際に東京で撮影することは本当に大変でした。東京という大都会で撮影許可を得ることの難しさが第一にありましたから。そもそも『GANTZ』は映像化不能といわれてきた作品でした。しかし、「どうやってやるか」ではなく「絶対にやる」という気持ちで臨みました。

東京での撮影という意味で一番こだわったのは地下鉄。セットもしくは地方の地下鉄という選択肢もあるなかで、東京の地下鉄での撮影にこだわりました。というのも、この物語は地下鉄という日常空間のなかで、戦いという非日常が突然始まる。そのはじまりの舞台として、どうしても本当の東京の地下鉄で撮影をしなければという思いがあったからです。交渉の結果、撮影場所となったのはりんかい線の大井町駅。ホームから奥までズドンと続く奥行きは、本物ならではの緊張感と迫力を表現できたと思っています。

また、ビビッという電子音と共に体が徐々に現れてくるGANTZ部屋のシーン、映像で表現し難いシーンも、時間と労力をかけて仕上げたおかげで満足のいく画になったと思っています。「こうすればいい」というような確立された表現や方法がないなか、スタッフみんなで喧々諤々と議論しながら手探りで進めていく作業は、まるで学生時代に経験した自主映画制作のプロセスのようでした。

子どもの頃の最大の娯楽は映画

映画との出会いは幼少時代にさかのぼります。ぼくが生まれ育った街は、広島県の比婆郡(現在、庄原市)にある田舎町。娯楽なんて何もありません。テレビはNHKと民放2局だけ。ビデオもありませんから、映画を観に行くということは一大イベントでした。車で2時間かけて福山市まで出かけなければ観られない映画。行くと決まった日から、ぼくの心臓は破裂してしまうんじゃないかと心配するぐらい待ちわびていました。

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