好奇心ひとつで世の中を渡りきる
辛酸なめ子 コラムニスト

辛酸なめ子「好奇心ひとつで世の中を渡りきる」

その意味で、漫画以外の仕事が増えて活動範囲が広がったのは、ウェブサイト「女・一人日記」が話題になって本を出版した頃からでした。その当時、90年代中頃はまだブログという言葉すらなかった時代で、それこそ好き勝手に書いていましたね。だから、当時の日記を読んでみると、「今日、北浦和駅で」と自分の住んでいるエリアを書いたり、友達の実名を書いたりと、個人情報をまったく気にしてなかったんですよ。今だったらあり得ないことですよね。でも、最近はウェブ上に文章を書きづらくなったかなと思っています。

ウェブはレスポンスが早いのがいいですね。例えば「風邪をひいた」なんて書くと、すぐに励ましの想念みたいなものが送られてくるのを感じることも。そういう読者の念で元気づけられたり、パワーをもらったりできるのが魅力だと思います。だけど、作家的な活動をしている私の友人が、ウェブ上に書いた内容に対して同業者から妬みや嫉妬の念を送られ、心臓に痛みを感じるようになったらしいんです(笑い)。そういうネガティブな念を送られることもあるので、気をつけないといけないですね。

人類滅亡後にも伝わるアートを残そう

『女子校育ち』
(ちくまプリマー新書)

最近、ブログは書いていませんが、『女子高育ち』『無銭ひとり散歩』という本を出版しました。『女子高育ち』は、女子高出身の女性共通の属性について考察したものです。例えば女子高出身の女性は、動物を見て可愛いと言うとか、男性の前で女性らしいリアクションをとるのが下手だとか、いろいろなことを言われます。それは本当なのか、だったらどうしてなのかといったことを探ろうと、いろいろな人に取材したり、女子高のイベントに参加したりしました。また、『無銭ひとり散歩』は、激安で遊べる東京の珍スポットを紹介したものです。例えば、109メンズ館に行くと若い男性がフレンドリーに接してくれてタダで気分よくしてくれるとか(笑い)。

これまでセレブ系やスピリチュアル系など、自分のやりたいテーマはやりつくしたので、いまは別のテーマを探しています。スピリチュアルといえば最近、東京にUFOが現れたらしいですね。私は電通の方から聞いたのですが、汐留から千葉方向へ向かっているのが見えて、大騒ぎになったとか。ある知人は、前世が宇宙人だったという人が集まるアリゾナ州のカフェに行ったらしいのですが、そのとき「もうすぐ地球に天変地異などが起こり危険な状況になるが、UFOが迎えに来るから怖がらないで乗ってください」って言われたらしいんです。不思議ですよね。でも私も最近空に謎の光を見ました。迎えにきてくれたのかもしれません(笑い)。

2012年人類滅亡説が流行っていて、真偽はわかりませんが、すごい話がいっぱいですよね。最近は地磁気が減っているので、北極と南極が逆転するポールシフトが起こるとか。さらに、太陽フレアが防げなくなって送電システムが壊れるとか、太陽の黒点が増えると動物や人が凶暴になるとか。まさにスピリチュアル全開ですよ。こうなったら、ムサビの人はアートで世の中を救うしかない。人類が滅亡した後でも、現在の文明が後の世界に伝わるようなアートを残していきましょう。

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