ムサビが育む「身体性の覚醒」へ…文明と文化の調和ある持続のために

今後、日本は少子高齢化成熟社会が始まるわけですが、ひとりひとりの創造力のパフォーマンスを最大化することができれば、次代を拓いていくことができると思っています。例えば外国人に英語で何かを伝えたいとき、語学力がなければ通訳が必要となります。ところが自分自身が英語で伝えられれば、一人で済んでしまいます。このように、ひとりひとりのポテンシャルを上げて生産性を高めていくことが、人口減少が加速している日本の生きる道であり、今の繁栄を維持するための手段の一つになると思っています。

そのためには、ひとりひとりが欲張って能力を身に付けていく必要がありますが、それはムサビの育む「身体の覚醒」で身に付けられると考えています。ムサビのカリキュラムは、一般の文理系大学の講義科目に実技がプラスされたような構成になっており、ムサビの学生は一般の大学生の倍忙しい日々を送っています。これは、欲張って二つの大学に通っているようなものですが、それだけ多くのものを学びとることができるようになっています。

また、私は学長に就任したとき、「あのはるかなる水平線に立てますか」というメッセージを発信しました。もし、水平線を「ただの接線だから立てるわけない」と理屈で考えているなら、何が問題かわからないような難題を発見するような胆力は発揮できないでしょう。やはり、立てると信じる力が重要であり、挑むことを恐れないマインドが大事です。その力を、ムサビは寛容なる環境の中で磨き続けています。そのことをご理解いただくため、ぜひ、大学で行われているイベントに足を運んでいただき、身体で美大を体感してください。

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