平成21年度カリキュラム

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プロジェクト全体のカリキュラムは総合科目の講義・実習と各専門科目及び課外科目にて構成されます。

■総合科目
文化総合 「竹の造形と地球環境」(前期)
人と植物の関係を研究する学問に民族植物学(Ethnobotany)がある。かつて、竹が人々といかに関わってきたかを調べてみると、実に驚くほど利用されていることが分かる。漁猟、畜産、養蚕、農耕、食料、容器、住居、灯火、着物、玩具、楽器、信仰…等、産業、生活、芸術、宗教など広範囲にわたり枚挙にいとまがない。
竹の植物的特性を理解し、これまで竹が世界中でどのように使われてきたのか具体的な事例を通して学び、これからの竹のありようを考察する。ただ座学として取り組むのではなく、各自の制作にいかせるよう、積極的に取り組んで欲しい。

文化総合 「竹の造形と地球環境」(後期)
フィールドでの見学(竹類植物園、竹林)を通して植物として竹の性格、特性を知り、後に竹と人間の関係において使われている建築、造園、工芸、農業といった現場を訪ね、実践としての竹の造形体験を試みる。
竹と人間がぶつかったところにアートや様々なものが生まれる。そこからクリエイティヴなものをどう発展させ、表現するのか。それぞれの感性が重要であり、最初の着想が悪かったら後に理性で考えても良いものは生まれない。加えて行動が必要となる。各自、自由な発想を元に意欲的に取り組んでもらいたい。

造形総合 「デザインIV 竹の造形
3週間開催されるうち、1週間はEDS竹を用いた「マイ箸」制作のワークショップを行う。現在、地球環境への配慮として「マイ箸」が取り上げられることが多い。そのような背景にあることを各自ふまえながら、EDS竹を用いて自由にオリジナルな箸を制作してもらいたい。ワークショップの最後には各自の箸を持ち寄って食事会を行う。
2週間は造形作家、日詰明男氏によるワークショップを行う。竹を用いた数理的な構造物制作や、フィボナッチ数列に基づいた竹の楽器演奏等を行う。
日詰氏よりのコメント:
竹を使って発明をしてください。発明の道具としてこんなに有効なものはありません。
竹は無尽蔵で取り替え可能な素材。そこには「自由」があります。小さいものから建築規模のものまで広範囲に使用できます。竹はフィボナッチ数列や準周期律による造形と響き合います。中心のないシステム、竹の地下茎はまさにリゾームそのものであり、未来の造形に不可欠の素材といえるのではないでしょうか。
日詰氏HPはこちら

造形総合 「デザインIV 設計計画A」「デザインIV 設計計画B
「小さな空間」というテーマのもと、4人1チームで制作する。昨年度は3メートルの角材、細いロープ、布によって造形を行った。自立するオブジェを作る、ということも大切なテーマである。20チーム前後による制作活動は感動的であり、本学キャンパスを作品が埋め尽くした。そこから、学生たちが展開したのは文字通りの小空間やオブジェ、家具的な空間など力作ぞろいだった。今年度は竹プロジェクトに連携し、角材を竹に替え、同一課題を行う。力作が期待される。


■専門科目
基礎デザイン学科
デザイン演習I-b(プロジェクト研究B)」

来るべき時代の世界観を予見させる「かたち」の提示が今日もっとも求められている。この授業では、自然や多面体構造の学習によってその糸口を探り、また「竹」による造形から未来の生活が想起され、未来の生活の予見から「竹」という持続可能な自然素材の必要性が再評価されるためのアプローチも試みる。具体的には、前半、自然界における諸現象、数理的な秩序をわかりやすく講義、簡単な演習を通じてそれらを体験する。物理学者、高木隆司氏が担当。後半は、バックミンスター・フラーの提唱する「シナジェティクス」をもとに、デザインサイエンスへの導入として、幾何学の理解を深めるワークショップを行う。モデリングの素材として「竹」を使用し、多面体やドーム構造に関する知識、実施に当って必要な工法、組み立て技術等を取得する。

基礎デザイン学科
デザイン演習I-f(プロジェクト研究C)」

日用品、雑貨などにおいて洗練されたスタイルの商品開発を行う。まず、想定するユーザー、アイテム、コンセプトを立て、リサーチを含めた議論を行う。それらをスケッチや図面を含めて二次元の世界で検討し、EDS竹という素材を使ってものづくりをする。また、提案の背景などを説明したカタログも作成する予定。ただものを置くだけでなく、きちんとメッセージを伝えるところまでやっていきたい。自分の気に入ったものだけをつくるのではなく、どうやって市場に展開していくかということまで意識して欲しい。


■課外科目
工業工芸デザイン学科 「竹プロジェクト」
インテリアデザインにおいては素材から発想が生まれる場合が多く、いきなりスケッチしても、かたちが出てこない。竹であると、弾力、特有の強度、といった特性が、何度も実際に手で触っていくうちに体に入ってくるので、それをベースにしてデザイン、ブラッシュアップしながら最終的な作品に仕上げてもらう。その過程で竹というsustainableな material(持続可能な素材)でありながら、使い方が難しいために今まで触れなかった素材にチャレンジして欲しい。