Q1.
3月に卒業されて半年がたちますが、
社会人となった感想を聞かせてください。
社会人になって、とにもかくにも学生時代はなんと貴重な時間だったことか…としみじみ思います。そして、自分がやりたいことに対してとことん向き合って悩んで考えて実行して、なんと贅沢な時間だったことかと思います。
Q2.
飯出さんがリーダーをされた
平成19年度前期のワークショップ計画について、
内容や感想を聞かせてください。
岩室で暮らしている住民の方にもまちづくりに参加してもらう窓口をつくる導入として、「みんなでつくろう岩室甚句 みつめて つなげて きづこう未来」というワークショップを企画しました。具体的には岩室の高齢者の方と一緒に岩室への思いを詩という形で表現して、「岩室甚句」という岩室伝統の民謡のメロディーにのせてみんなで歌いました。感想としては、岩室のおじいちゃんおばあちゃんはとても元気!こんな元気なおじいちゃんおばあちゃんをまちづくりに活かさないともったいない!と思いました。そしてまた、ワークショップの目的であった「岩室の住民の方の岩室に対する思いを引き出す」難しさも感じました。
Q3.
ご自身の卒業制作も
岩室をテーマにされたそうですが、
そのきっかけや内容など教えてください。
きっかけは、ワークショップに参加していた一人のおばあちゃん、テルさんの器用さに感動したことでした。ワークショップを行った次の日、テルさん宅に遊びに行ったのですが手芸やら粘土やらたくさんの作品が部屋の至る所に飾ってあったのです。それを見て、この器用さを何かまちづくりに活かせないかと考えました。卒業制作としては、テルさんのように趣味で作っている方、地元の職人さん、岩室中学校美術部の皆さんに参加して頂いて一つの作品を作りました。作品のアイデアは私が出したのですが、岩室には芸妓さんがいて岩室温泉街に和のイメージが漂っていること、そして夏に冬妻川で「冬妻蛍」が見られることから、「冬妻蛍簪(ふゆつまほたるかんざし)」をつくることを思いつきました。
具体的には、光る素材を入れたガラス玉をガラスの職人さん、簪のくしを竹細工の職人さん、簪袋をテルさん、岩室温泉の判子を酒屋のおじいちゃん&造園師のおじいちゃん、簪のプレートを中学生に作ってもらいました。その制作の過程で様々な立場の器用な人達を繋げてつなげていきました。人と人とをものづくりを通してつなげていく、すなわち人と人とのコミュニケーションをデザインする、これは私が関わった前期のワークショップで学んだ経験がとても役に立ちました。
Q4.
岩室での経験で、心に残っている
エピソードなど教えてください。
私は、卒業制作のために毎月1週間ほど滞在していたのですが、ほとんど食費がかかりませんでした。岩室の皆さんが畑で収穫したばかりの野菜やら果物やらお菓子やらお酒やら手料理やら色々と恵んで下さったのです。とにかく毎回食べ過ぎて東京へ帰っていました。また、岩室で卒業制作の発表会を行ったのですが、プロジェクト外にもかかわらずたくさんの岩室の方が見に来て下さったことは本当に有り難かったです。そして一区切りついてお別れの際、テルさんが寂しくなると泣いてくれました。私も思わずウルウルきてしまいました。
Q5.
このプロジェクトに参加してどうでしたか?
プロジェクトのあり方や自分自身への影響など
聞かせてください。
私はワークショップを学びたくてプロジェクトに参加したのですが、実際にワークショップを通して岩室のまちづくりに関わることが出来たのでとても勉強になりました。
デザインを知らない様々な年代や立場の人たちと触れ合い、大学の授業だけでは学べないたくさんの経験をさせて頂きました。また卒業後、デザインを通して社会とどう関わっていくかということを考える良いきっかけとなった気がします。
Q6.
ムサビの先輩として、学生たちへのアドバイスと
岩室の方々にメッセージを!
岩室の方とムサビ生とが、プロジェクトが終わった後も何らかの形でずっと良い関係で続いていけば良いなと思っています。