株式会社リクルートコミュニケーションズ
クリエイティブの力を信じ続けること
萩原幸也(デザイン情報学科卒業) × 邉洋治郎 (基礎デザイン学科卒業)

Profile

萩原幸也(はぎはら・ゆきや)
2006年株式会社リクルート入社。現クリエイティブセンターマネージャー。リクルートホールディングス、及びグループ会社のブランディング、同グループが提供する『じゃらん』『受験サプリ』『Airレジ』などのブランディング、プロモーションに携わる。
渡邉洋治郎(わたなべ・ようじろう)
2007年株式会社リクルート入社。リクルートホールディングス、及びグループ会社のブランディング、同グループが提供する『SUUMO』などのブランディング、プロモーションに携わる。

株式会社リクルートコミュニケーションズの萩原幸也さん(デザイン情報学科卒業)と渡邉洋治郎さん(基礎デザイン学科卒業)。リクルートグループの提供するサービスのブランディングやプロモーションに携わる。
リクルートでは、一つのプロジェクトすべての工程に携わることができるのが魅力というお二人。ムサビ時代はどのように過ごし、学び、それがどのように活かされているかをお聞きした。

お二人が所属するクリエイティブセンターがまとめた記録年鑑

――ムサビの授業で思い出深い授業はありますか?

渡邉 二浪して基礎デザイン学科に入ったのですが、受験のプレッシャーから解放されたばかりの1年次のとき、授業でクリエイティブな作業ができることにすごく新鮮な喜びを感じたことを覚えています。その一つに、白黒写真を撮影から現像まで自分で行うというものがありまして、自分の意思で撮りたいものを撮り、相手に狙いを伝えるという作業ができたことが、すごくうれしかった。幸也さんは何かありますか?

萩原 ぼくは「課題発見」という授業ですね。これは世の中にある課題を自分たちで発見して、解決する方法を考え、プレゼンテーションしていくグループワークです。リクルートのビジネスも、世の中の負を見つけ、その解決策をプロジェクトとして進める事が多いわけですが、当時学んだことが今にすごく活きていると思います。

――具体的にはどのようなことをしていたのですか?

萩原 例えば1学年上の先輩たちの発表の一つに、煩雑だった絵の具の収納に目をつけるものがありました。美大の受験生は絵の具を箱にいっぱい詰めて持ち歩いているのですが、あまりに絵の具が多くなってくると、チューブを箱に縦で入れることがあります。しかし、チューブは側面に色を表記しているので、縦に入れるとチューブの色が一目で分からなくなることがあるんです。すると、絵を描く際に自分の使いたい色がすぐ見つからずにイライラしながら探すことに。そこで、先輩たちは蓋を透明にすればいいじゃないかという解決策を見出し、実際にメーカーさんにお願いして共同開発したんです。

一方、ぼくたちのクラスはグループワークのなかで意見が上手くまとまらなかった。個性を生かしたいと思っている人たちが集ったグループで何かを煮詰めて発表していくということの難しさを痛感しました。

洋治郎は3人の共同作品で「そこにある皺(しわ)」という作品が評価を受けたよね。

――どのような作品なのですか?

渡邉 ぼくは原研哉先生のゼミに入っていたのですが、卒業制作にEx-formation(エクスフォーメーション)というものがあるんです。これはinformationの対義語として考えられた造語なのですが、ぼくたちの世代が3年目で今も続いている卒制テーマです。Ex-formationとは、分かっているようで実はあまり理解していないコトやモノを、さまざまな角度から提起することにより、その情報に対する新鮮さや探究心を触発しようとするものです。そして、ぼくたちの世代のEx-formationのテーマが“皺”だったんです。

萩原 デザイン系の学生の卒業制作を対象としたコンテスト「MITSUBISHI CHEMICAL JUNIOR DESIGNER AWARD 2007」で全国2位だったんだよね。

渡邉 どんなものでも永久に張りを維持できるものは世の中に存在しなくて、開封した途端にどんどん劣化したり、皺もついてきます。服もすぐに皺になるし、人間もそうですよね。どちらかと言えばネガティブに扱われてきた「皺」を、デザイニングのプロセスに取り入れることで、新鮮な心象を生み出す試みでした。例えばブルドッグの皺みたいなクッションを作ったり、Tシャツの皺が入っている木の洗濯板を作ったり。

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