株式会社リクルートコミュニケーションズ
クリエイティブの力を信じ続けること
萩原幸也(デザイン情報学科卒業) × 渡邉洋治郎 (基礎デザイン学科卒業)

――萩原さんの卒業制作はどんなものですか?

萩原 80体ほどのリアルな人形を大学の地面に突き刺さして埋めた「人間発射台」というものです。4階の展示スペースに大砲が置いてあり、そこまで見に来てくれた人はここから飛ばされて突き刺さったんだなということが理解できるというもので、おそらくムサビ史上一番面積を使った展示だったと思います(笑)。はじめは学科の看板を作ろうと考えていたのですが、ただの看板では興味をもって見てくれないですよね。だから、どうやって人を自分の展示スペースまで誘導するか、入ってきたときのインパクトを与えるかということを考えていくうちに、こういう作品になったわけです。

――芸術祭はどのようなものでしたか?

萩原 3年間ほど実行委員をやっていまして2003年には芸術祭実行委員長を務めました。この間に企画の数が飛躍的に増え、200を超えました。今ではもっと多いと思いますが、それまでの年は企画数が120程度だったので、ほぼ倍増したわけです。また、企画に参加する学生も3000人を超えたのですが、学生の総数が約4000人だったので4分の3以上が参加するという驚異的な参加率となりました。ただ、これだけ多くの人が関わってくると収拾がつかなくなってくるんですよね。それをまとめるのに大変苦労しました。例えばパンフレットなどに載せる情報の整理にしても、どうすれば分かりやすいかということをひたすら考え、建物ごとにまとめてみたり、カテゴリーを変えてみたりと試行錯誤しました。このような情報を整理して人に伝え、動いてもらうということが結局、今の仕事につながっていると感じています。

渡邉 幸也さんは、そういうたくさんの関係性の中で人を動かすというような力の強さをもっていますよね。

ぼくたちはディレクターとして間に入っている組織なので、関係者がすごく多いんです。そのなかで、いいものを創るために一つの方向へ向けて舵を取るというのは非常に大変なのですが、幸也さんはそういう力が強いと思います。

――リクルートに就職を決めたのはどうしてですか?

萩原 11月まで芸術祭の実行委員の仕事をやっていたので、就活のスタートがちょっと遅れました。あまりうまくいかなくて自分の進路というものに迷っている時期があったのですが、そんなときにたまたまリクルートの面接を受けたんです。そうしたらすごく話を聞いてくれて、それがうれしくて決めました(笑)。

渡邉 ぼくは一つのプロジェクトにおいて、デザインするということだけでなく、一から十まですべてに携わりたいと思っていました。グループワークにしろ、コンセプトを決めて何を作るかを決め、実際に制作して人にどう伝えるかというところまで全部やりたい。そんななか、リクルートの説明会に参加したとき、この会社は一つのものを生み出すすべてのプロセスに関わっていると感じ、自分のやりたいことができそうだと思って決めました。

萩原 「サービスのコンセプトやビジョンを決める」、「ネーミングを決める」、「ロゴを作る」、「雑誌を作る」、「サイトのデザインする」、「それを社内でどう広めていくかというインナーコミュニケーションもする」、「クライアントに対してのツールも作る」、「マスプロモーションをする」と、何にでも関わっていけるんです。

――その仕事のなかで、とくに印象に残っている仕事はありますか?

萩原 関わった仕事はどれも印象的ですが、最近の仕事だと『受験サプリ』と『Airレジ』ですね。

『受験サプリ』は受験生に無料で過去問や模試を提供したり、非常に低価格でプロ講師の授業を視聴できるサービスです。立ち上げて2年で受験生の2人に1人が利用するまでになっていますが、教育格差を無くそうと常に成長を続けています。一方、お店の煩雑な会計業務のシステムを無料でスマートに、さらにお客様とも繋がる仕組みを取り入れたサービスが『Airレジ』という、無料のPOSレジアプリです。

両サービスともリクルートのコーポレートメッセージ「まだ、ここにない、出会い。」を体現したようなサービスだと思っています。先ほど言ったようにネーミングやロゴデザインなどの立ち上げから、プロモーションまで携わっています。関係者の気持ちも非常に熱いので、いつも刺激をうけます。

渡邉 ぼくは住宅の『SUUMO』というサービスの誕生から認知させていくまでのプロセスに関わってきました。これは元々、住宅情報というブランドだったのですが、『SUUMO』というサービス名称にブランドスイッチするタイミングで携わりました。そこで、まず最初に行ったのはネーミング、その次にロゴ、そして『SUUMO』を世の中にどうやって広げていくかを考え、キャラクターを作り、CMを作り、交通広告を打ち、さらに社内を含めた多方面への認知度を高めていかないといけないので、キャラクターマニュアルやロゴマニュアルを作ったり、ありとあらゆることに携わっていきました。これは、一から十まで全部携わりたいというぼくの希望通りの仕事で、非常に満足感のある仕事の一つとなりました。

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