「絵の力 －絵の具の魔術－」展
■会期：2009年7月8日（水）~8月15日（土）
＊8/22（土）、23（日）特別開館
■会場：美術資料図書館1・2階展示室、彫刻陳列室、2号館gFAL、FAL
■企画趣旨概要：
絵画とは、何よりもまず何かを表現しているものです。そして絵画は、言うまでもなく「絵の具」によって描かれているものでもあります。そうだとすれば、絵画において「絵の具」とは、単なる物質的な道具であることを超えて存在するものだということになります。「絵の具」は、単なる物質的存在に留まるのではなく、表現を成立させていくのです。このような「魔術的」な変化にこそ、絵画の持つ魅力の一端が隠されているということもできるかもしれません。「絵の具」が、どのようにして表現を生成させていくのか、この展覧会は、まさにこの問題に焦点を当てるものとなっています。
「絵の具」によって作り出された絵画世界こそが作品における表現であることは言うまでもありません。しかし、「絵の具」そのものも絵画における表現に重要な役割を果たしていることを忘れるわけにはいきません。絵の具そのものも強い表現力を秘めているのです。描写のために用いられた絵の具は、色彩を示す抽象的な記号であるのではなく、ときに官能性を帯びるほどに感覚的な刺激を与えるものとなります。画布に置かれた「絵の具」のタッチ（あるいはタッチの痕跡の無さ）が、作品に描き出された世界と分かちがたく結びつくこともあります。作り手と絵の具との間の絶え間のないやり取り（相互作用）のなかで、作品は新たな表現を生み出していくのです。
物質である「絵の具」が、豊かな表現をもった絵画世界を生成させる「魔術的」な変化は、ある種の奇跡のようにも見えます。このような絵画独特の魅力を伝える展覧会となることを本展は目指しています。
関連企画「絵の力ー絵の具の魔術ー」シンポジウム
【場所】武蔵野美術大学1号館104教室
【日時】2009年7月9日（木）16：30～
本江邦夫 多摩美術大学教授
長沢秀之 本学油絵学科教授
遠藤彰子 本学油絵学科教授
斎藤國靖 本学油絵学科教授
田中正之 本学造形文化・美学美術史教授（司会）
●出品作家・開催時間など詳細については美術資料図書館サイトをご覧ください。
The Power of Paintings: The Magic of Pigments
Purpose: More than anything else, paintings express something. And, needless to say, paintings are drawn using pigments. If that is the case, then the pigments in paintings have an existence that goes beyond being simply physical tools. Pigments do not just have a physical existence but also bring out a painting's expression. Perhaps it can be said that part of the attraction of a painting is hidden in this "magic" change. How is it that pigments create expression? This exhibition focuses precisely on this question.
Needless to say, it is the painting's world created by the pigments that is the expression in the work. But we must not forget that the pigments themselves also play an important role in a painting's expression. Pigments themselves have strong powers of expression. Pigments used for drawing are not simply abstract symbols indicating color but elements that emit sensible, sometimes even sensual, stimuli. The touch of a pigment on a canvas (or the absence of any trace of touch) can be inseparably connected with the world drawn in the work. Amid the ceaseless exchange between the artist and the pigments, the work creates a new expression.
The "magic" change by which the pigments, which are materials, create a painting's world of affluent expression also appears to be a kind of miracle. The aim of this exhibition is to transmit this unique attraction of paintings.
Period: July 8 (Wednesday) - August 15 (Saturday), 2009 (special open days on August 22 [Saturday] and 23 [Sunday])
Venue: Musashino Art University
