2006年10月25〜27日
先進地視察 湯布院・黒川温泉

レポート

日本を代表する温泉郷 湯布院を訪ねて

10月25〜27日、温泉地として地域復興に成功した九州大分県・湯布院と熊本県・黒川温泉へ視察に行ってきました。台風の影響で悪天候の東京とは打って変わって、大分空港に降り立ってみると真っ青な空と海が広がる爽やかな秋晴れとなりました。

湯布院では、現在の町並みの基礎を作り上げたと言われるまちづくりリーダーのひとり、亀の井別荘の中谷健太郎氏にお会いすることができました。湯布院の宿でも「御三家」のひとつと言われている亀の井別荘。私たちはその中庭に迎えられ、お話を伺いました。

レポート 中谷氏らが行ってきたまちづくりは、ドイツのクワオルトという「温泉保養地」構想からヒントを得た滞在型温泉地づくりです。

その一環として、湯布院映画祭や音楽祭、牛喰い絶叫大会などのイベントを積極的に行い、また「地元の人達にとって住みやすい町こそが、訪れた人にとってもよい町である。」という発想のもと、商業・観光・農業が一体となったまちづくりを行っているとのことでした。

また、翌日には由布市議会議員の小林華弥子さんにもお話を伺うことができました。合併による行政との確執、景観を守る運動など、中谷氏らの想いを受け継いで、次の世代が湯布院のまちづくりを自分たちの問題として積極的に取り組んでいる様子が印象に残りました。

都会的なセンスでさりげなく洗練された雰囲気と、雄大な由布岳を背にのんびりと懐かしい田舎の雰囲気を併せ持つ湯布院の魅力が、そういった人々の町を想う気持ちと努力によって成り立っていることを強く感じました。

レポート

黒川温泉を変えた男、伝説のテツヤ氏に会う!

そして、今や女性客人気No.1の熊本県黒川温泉。空港から遠く離れた山中の温泉街がなぜNo.1なのか?その秘密を探りに行ってきました。

黒川温泉の視察で一番楽しみにしていたのが、黒川温泉のドンと呼ばれる温泉カリスマ・後藤哲也氏(新明館 館主)にお会いすることでした。

後藤氏は寂れていた黒川温泉を建て直そうと、独りで自宅の裏山に洞窟露天風呂を作りあげ、町中に植林するなど景観を統一するための活動を積極的に行ってこられました。その地道な活動はしだいに周りの人々の意識を変えて、黒川は落ち着いた佇まいと、美しい自然にかこまれた温泉街に生まれ変わりました。

テツヤ氏自慢の宿『山みず木』の露天風呂には裸で歩く散歩道が作られ、大自然の中を露天風呂めぐりができます。その素晴らしい景観に、心も身体も癒されました。

レポート

『入湯手形』が起こしたミラクル

また黒川温泉では「入湯手形」で温泉街にある旅館のどのお風呂でも3ヶ所を選んで入ることができるという仕組みを導入しています。入湯手形によって訪れる人々もいろいろなお風呂を楽しめ、また各旅館も常に手入れの行き届いたおもてなしを考えるようになり、黒川温泉全体の質が上がったというお話を伺いました。

入湯手形をさげ、浴衣を着て温泉街をゆっくり散策する人々はみなリラックスした表情で、温泉マップ片手にどのお風呂に入ろうか楽しそうに相談する姿がたくさん見られました。

レポート 湯布院・黒川温泉どちらも、訪れる人に満足してもらいたいという想いと住んでいる人達の自分の町を想うあたたかい気持ちによって支えられていました。今回の視察で得たものは「いわむろのみらい」創生プロジェクトでの今後の指針になると思います。

先進地視察メンバー:プロジェクトチーム(10名)