ジメジメとした梅雨が明けた快晴の中、早朝6時半に岩室出発した「いわむろみらい研究会
」のみなさん総勢15名は、4時間半かけてムサビに到着しました。
この日の1週間前、新潟を震度6の地震が襲いました。岩室地域は「岩室」の名の由来にもなったように地盤が固く、幸い大きな被害にはならなかったとのことです。
今回の合同会議は今年の4月に完成した、新アトリエ棟である2号館で行われました。また、みらい研究会の方々には、美術史料図書館で開催されている「射影のクオリア」という展示を見ていただきました。
これまでの集大成となるよう連日徹夜で作業を続けてきた各チームと、学生からどんな提案が聞けるのか楽しみにしてくださっているみらい研究会の方々による第4回合同会議が始まりました。最終プレゼンで与えられた時間は各チーム35分。その中で、半年間で考えてきた構想や成果物を発表します。
トップバッターは観光デザイン計画チームです。観光デザイン計画チームは、10人のメンバーがそれぞれテーマを決めて調査を進めました。途中、10のテーマをどうまとめていったらよいのか悩みましたが、最終プレゼンではそれぞれのテーマを1冊の冊子にまとめ、また岩室の観光スポットで使えるカードを提案しました。具体的にそれらをどのように活用してゆくのかが今後の展開が課題となりました。
続いてストリートファニチュア計画チームの発表が行われました。岩室の方々との打ち合せを進めるうちに課題テーマはどんどん広がり、岩室のメインストリートへのベンチの提案、丸子山公園のデッキの構想、メモリアルベンチの提案と、当初の予定よりも多くの課題に挑戦しました。最終プレゼンでは、それぞれの模型を作成し、公園のデッキとメモリアルベンチは実現に向けて図面を作成することになりました。これらの取組によって、チームが目標としていた岩室の方々の意識を変えられる「気づき」のデザインとして成果を残せるのか?今後の岩室に期待したいと思います。
ワークショップ計画チームは、岩室で行った岩室甚句を作るワークショップの経緯と成果を報告後、ワークショップのもたらす効果について発表しました。岩室の方からは「そういう機会を持とうと思ってもなかなか若い人が集まらない」などの意見が出ましたが、それこそが今岩室が抱えている問題のひとつであるという認識につながりました。岩室甚句を一緒に作った婦人会の方々と学生との温かい交流はその後も続き、みんなで夏祭りに訪ねて行ったり、岩室を舞台に卒業制作を考える学生が登場したりと、次のステップへ続く成果を残すことができました。
この最終プレゼンテーションでは、昨年度より構想の続いていたマーク・ロゴタイプの最終決定をする予定でした。チームから提案された案はそれぞれ3つ。しかし、岩室の方々からの反応はあまりなく「このマークやロゴがいったいどういう場面で使用されるのか?」といった質問が出ました。みらい研究会の方々は良い意味で「一般人」。あまり反応がなかったということは、やはりプレゼンテーションにもっと工夫が必要であったと気づかされました。今回の提案の中から、みらい研究会には候補となるものを一つ選んでいただくことになり、ここで妥協せず双方が納得できる提案ができるよう引き続き学生たちの奮闘が続きます。
キャラクター開発チームは全部で8つのキャラクターを提案しました。それぞれ岩室のイメージを新しく明るくしてくれそうな愛嬌のあるデザインとネーミングです。プレゼンテーションではキャラクターをプリントしたTシャツを着て登場。そしてオリジナルバックも作成しました。しかし、これらをどのように展開していったらよいのか?という質問もありました。今後はその課題を克服して、岩室でも展開の可能性について検討をすすめていただくことになりました。どのキャラクターが一番に採用されるのか楽しみです。
※各チームの成果は引き続きこのHPで発表していきます。
プレゼンテーション終了後、12号館談話室MAUにて懇親会が開かれました。お土産にいただいた新潟産のメロンやスイカを食べながら、プレゼンテーションの内容について率直な意見を聞きたいと、学生たちはみらい研究会の方々を囲んで熱く意見交換をしました。
このプロジェクともいよいよ中盤をむかえ、終盤へむけてさらなる充実が求められます。コアグループを中心とした学生たちは、地域活性化を実現していく難しさに直面し、いわむろみらい研究会の方々も、次々と出てくる提案をどう活かしていけるのかを本気で考えなければならない段階になりました。大きなプロジェクトであるだけに大変難しいけれど、やりがいもあり、またチャンスでもあります。
これを乗り越えることで岩室とムサビの絆が深まり、それぞれにとってかけがえのない経験となることを期待したいです!
平成19年度前期プロジェクトブック(PDF 1.7MB)
平成19年度後期プロジェクトブック(PDF 4.7MB)