第10回目はこれまで3回にわたって行われた望月昭氏の連続講義にかわって、本学の相澤教授(民俗学)による講義となりました。
相澤教授は講義の導入としてエスノボタニー(植物民族学)などについての解説から、本プロジェクトに対して「天と地の恵みを受けてものをつくる」という根本に立ち返って考える重要性を示唆しました。また、宮本常一氏の民具分類を例に挙げながら民具の与える時代への影響力について解説がありました。続いて竹の道具分類における位置づけを確認し、「灯火」用具における竹の関わりを歴史とともに見ていきました。
その歴史の末にある、エジソンの発明した白熱電球へと話は移ります。細かく割いた竹を炭化し、竹フィラメントに電圧をかけるエジソンの白熱電球。実際に教室の中でエジソンランプの点灯も行われました。そしてその灯りの発明は真空管の元となり、それがトランジスタ、集積回路、LSI、コンピュータへと連なる「もの」の進化を説明しました。
次に竹のない地域であるにもかかわらず、多くの竹の民具を有する例として南会津の民具が紹介されました。また、竹は日本へ稲と一緒に入ってきたのではないかという独自の考察を説明しました。稲が北上していく大きな原因には天皇家の存在があり、伊勢神宮の負った役割、米の栽培方法、地震国という日本の特徴などが、総合的に絡み合い結果として竹も北上していったのではないかと説明がありました。
最後に京都にあるエジソン記念碑を紹介し、何故白熱電球のフィラメントが京都八幡の竹でなければならなかったのかを説明しました。科学の最先端と日本で培われた最先端の技術が出会って生まれたエジソンの白熱電球である点を強調し、本プロジェクトを履修する学生達へのメッセージとしました。