2008.11.22(sat)
公開シンポジウム「竹の造形・その未来」4

伊藤准教授:
私は、本学で教える前はアフリカのガーナでデザイン指導をしていました。ガーナでは枯れたココナッツのように、使われていない素材をいかに使うか、ということを常に念頭において活動してきました。具体的には枯れて薪にしかならないココナッツを、椅子や机といった製品にし、発表してきました。開発途上国において使われていない素材を用いて製品化し、いかに市場に乗せていくか、ということが経済支援において非常に重要であり、学生達にもそのことを伝えながら取り組んでいます。

家具の場合可搬性が良いかということが問題になってきますので、ノックダウンのシステムの開発が必要です。また、材料の特性をいかに美しく引き出すことができるのか、ということがテーマになります。順に学生達の作業経過を報告しながら、取り組みを説明いたします。
まずこの学生は竹を薄くしたものにねじれを加え、美しい三次元をつくり出しています。これは最終的には照明となる予定です。次に、低座いすの作品です。日本の文化である、低く座るということと竹の弾力をいかに生かすか、を考えています。薄い平板が1枚では強度が出ませんから、何枚か重ねる必要があります。ですが一般的に成型合板で使用する接着剤では、固まってしまい弾力が出ません。実験を重ねた結果、板と板の間に紙を挟んで合成接着剤を使用するとうまくいく可能性が出てきましたので、現在検証中です。また、この椅子は分解するとコンパクトにまとめることができますので、持ち運びも容易になっています。次は椅子の作品です。まだデザイン的に改善の余地はありますが、非常に軽量なものになっています。次は私の作品ですが、フォールディングをテーマとし、薄い板状にした竹の弾力を利用したものになっています。分解が可能ですので移動に便利なため、お土産としても使えるものになると考えています。
以上です。まだまだ作品数が少なく、エスキース中のものも多くありますので、これから1月を目処に制作を続けていきます。

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